うなぎ登りのはなし

 温暖化を越え、地球沸騰とまで言われた今年の夏。9月を迎え、少しは落ち着いてきましたかね。皆々様いかがお過ごしでしょうか?

 かつてない、正に未曾有の光景を今年は幾度となく目にしました。そのためか、鰻を取り巻く生態環境にも変化が生じ、うなぎ登りにもますます拍車がかかり、高値安定の様相となっております。

 日本の繁栄の期の一つ、江戸中末期、元禄文化栄えし時代の画人の一人、かの葛飾北斎が描いた時代風刺漫画の中に、天に昇ろうとする鰻をチョンマゲ姿の男衆が一生懸命止めようとする絵がありますが、物価高にあえぐ現代社会と重なって見えるのは私だけでしょうか?

 世界に唯一無二の蒲焼を皆様に少しでの身近に感じて頂きたいと思うものの、うなぎ昇りの相場を左右する事は私には出来ません。ですが、鰻文化を時代を越えて継承していく事も鰻屋の大切な使命だと思い、今日も火床の前に立っております。