鰻屋の肝吸いのはなし

 私共では毎朝、吸物や煮物を作るためにダシをひきます。南アルプスの伏流水で山梨県側に流れ出る尾白川の天然水(水道法にのっとり、十分に減菌された水)と真昆布、それに鰹節が材料です。

 何万年もの時間を経たミネラル豊富な天然水、昆布は3年以上たったヒネのもの、鰹節は吸物が濁るのをきらい、血合いの部分は除き、紙よりも薄く削っております。どちらも京都の鰹節屋さんにお願いし、私共のために確保していただいております。

 この材料でひいたダシをベースにして肝吸いを作っておりますが、肝は身よりも栄養価が高く、鰻を召し上がっていただく時にはぜひご一緒にと思います。味付けは、尾白川近くに湧き出る塩分ある天然温泉を煮つめて作った岩塩と、薄口しょうゆ、それに酒です。

 鰻の持つ唯一無二のうま味と、雄大な自然から生まれた神秘をどうつなげばいいのか、一杯の肝吸いに思いを込めながら今日も火床の前に立っております。