「鰻屋の符ちょう」のはなし

 修業時代、「職人である前にまず人であれ」と教えてくれた下諏訪の丸六本山商店の親父には、今もって何の恩返しもできておりません。何とかしてその生き方、考え方に近づこうと思うのですが、足元にも及びません。そんな中で受け継いでいる一つに「符ちょう」があります。

   一 二 三 四 五 六 七 八 九 十

   千 リ 用 丁 天 カ ツ ガン マル

 これが鰻屋の符ちょうです。アルバイト時代から親父の言葉じりをまねて覚えた事、思い出します。

 鰻を取り巻く環境変化は、あらゆる場面で想像を越えていますが、鰻屋としての本筋は何も変わっていません。

 鰻文化を守り、後世に伝える事も鰻屋の大切な役割のひとつだと思い、今日も火床の前に立っております。