上り鰻と下り鰻のはなし
あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
冬の間、河口付近にいたシラスウナギも、春になると子鰻(めそうなぎ)となり、一斉に川を上ります。前後を争うことなどせず、餌となる昆虫、小魚などを求め、どんな禍(わざわい)があろうと突破して上ります。これを「上り鰻」と言い、立身出世する人の形容詞となっていますね。
反対に下り鰻となると、目や口などはよく発達し、産卵に備え肉が肥え、いつもは見えない鱗(うろこ)が押し出されます。この表皮の変化を豆の莢(さや)に例えてサヤガタ鰻と言います。
どんな時代であろうと、その生態系と生き方は変わりません。不変であることの大切さを今一度見直し、お客様に変わらぬ美味しさをお伝え続けねばと思い、今日も火床の前に立っております。