鰻とダ・ヴィンチのはなし

 私共の店に入ると、かのイタリアの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが残した「最後の晩餐」の写真が貼られております。その中の右から三番目の皿に描かれているのは鰻料理だと私は信じております。

 と申しますのは、イタリアでは古くから鰻を食べており、その歴史は時に日本より古いのではと考えるからです。

 1959年頃封切りされた例のソフィア・ローレン主演「河の女」には大鰻をぶつ切りにし、丸のまま金串に刺し、女工員がくるくる回しながら焼く姿など、鰻養殖や加工場のシーンが幾コマも出て参ります。

 そして、クリスマスには大鰻を鳥の丸焼きのように焼き、キャンディワインで乾杯するとか、鰻をよく食べている(食べていた)国はいくつか有りますが、「最後の晩餐」はやっぱり蒲焼かな、と思いつつ、今日も火床の前に立っております。