天然鰻と太田川の話

 深まりゆく秋、鰻も本当の旬を迎え、下り鰻の季節となって来ました。

 ところで皆様、太田川という川をご存じでしょうか? 静岡県の東部を流れる川で、幾つかの支流が集まり、太田川となって汽水城を経て、遠州灘へと流れ出る二級河川です。

 ご存じ天竜川の東側を同じように流れ出てはいますが、距離は天竜川より短く、山のミネラルもたっぷり、餌となる昆虫も多く、うなぎの住処(すみか)となる淀(よどみ)もたくさんあります。

 以前は、太平洋沿岸の河川にはどこにでもいた鰻もめっきり減ってしまってはいますが、この太田川の川漁師細野さんのおかげで、私共は今年もこの上ない上質の天然鰻を扱わせて頂きました。

 産卵のための下り鰻はなるべく海へ、又来年新仔となってこの川に戻って来いよと願う細野さん。私共も同じ思いで本物を味わって頂ける店でありたいと、今日も火床の前に立っております。