鰻の八幡巻のはなし
暑い暑いと言っていたのに、気が付けば高い秋空にうろこ雲、松茸、さんま、柿等々秋の味覚がいっぱいですね。そんな中、私共では鰻やドジョウと相性の良いゴボウをよく使っております。
土つきの細めのゴボウをたわしで軽く洗い、汚れを落とし、鰻をぐるぐる巻き、蒲焼にします。これを八幡巻と言いますが、なぜ八幡巻の名前がついたかと申しますと、諸説ある中で私は次の節が最も有力だと考えます。
昔、京都から大阪に向かって流れる三つの大河が合流するところを八幡と言いました。八幡という所はたびたび氾濫に合い、土壌は柔らかく肥沃、よってゴボウは長く風味良く育ち、八幡地方の名産品となりました。鰻は近くの川で捕れ、名物のゴボウに巻き付けて焼いたところ相性抜群、八幡巻と言われるようになりました。
鰻とゴボウ、お客様と鰻職人。新たな価値観を求め今日も火床の前に立っております。