鰻(江戸から現代)のはなし
新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
江戸時代、江戸っこが田舎侍に突き当たって「無礼者、この刀が目に入らぬか」とおどかされた時のたんかに「二本差しが怖くて往来があるけるけえ、気の利いた鰻は三本も四本も差し手あらあ」と落語の一節にありますが、私共も鰻には三本も四本も五本も串を刺します。
多くの料理技法は、上方から花のお江戸に入り、開花した中でも鰻だけは違っておりました。江戸のは江戸、上方には上方とそれぞれの良さがあり、意地とプライドをかけて今でも拮抗しております。そうあるからこそ、鰻文化も豊かになると私は思っております。
諏訪湖を中心とした自然豊かなこの地にあって、鰻を始め様々な食材をどう生かせば地域特性が出せるのかを考えながら、今日も火床の前に立っております。