今年の鰻事情のはなし

 遠くマリアナ海溝の深海で生まれ、太平洋の西沿岸にたどり着き、川や湖で大きくなる天然の鰻、また囲まれた池で大きくなる養殖の鰻、どちらも元は一緒です。

 その元となる「シラスウナギ」が今年は近年にない大不漁。例年3月8日から13日にかけての闇夜の大潮が一番の漁期なのですが、まったく捕れておりません。しかるに今年も鰻は増々高くなりそうです。

 昨年まで加工して冷凍庫に貯えられていた蒲焼が時に安く売られてはいますが、私共は一切目もくれません。毎朝生きた鰻を裂き、炭火で焼き上げる手法をこれからも続けて参ります。

 国が推し進める自然再興がうまく働いてくれることを願うばかりです。ネイチャーポジティブの精神、これからは食事とともに一緒に考えていかなければならないと思いつつ、今日も火床の前に立っています。