鰻屋のもてなしのはなし
暖かな陽気となり、私共も装いを春から夏向きへと変化させております。
そのひとつ湯呑みも冬の土物から白磁の染付けへと変えたところです。その絵柄の中に、漢詩の一節の中から「井華水」という部分を抜粋し、書いてもらいました。
これは昔、中国のとある村にある一つの井戸に水を求めて大勢の村人が集まるという意味です。私共のお店にも鰻を求め、多くのお客様に足を運んでいただければと願い、書き込んでいただきました。
ちなみに私共の隣にある離れ「無時庵」も漢詩の一節から偉い先生に銘々していただきましたが、決まった時もなく、気ままにお越しくださいという意味です。
食事とは空腹を満たすための行為だけではなく、時節や人の気までも感じ取っていただければと考え、今日も火床の前に立っております。