鰻のうま味のはなし

 今や「うま味」は、甘い、しょっぱいなどの味覚に加え、世界中の料理にそれが技法として広がっております。

 日本料理では「出汁」と書く通り、いろんな食材から素材の持つ味を煮だして取る方法を言いますが、その代表格はコブとカツヲですね。

 コブにはグルタミン酸というアミノ酸、カツヲにはイノシン酸という核酸、これが水の溶け合い「うま味」となるわけですが、うなぎにも微量ですがその「うま味」があると私は考えます。

 うなぎを筒切りにし、焼いて骨を抜き天日に干し、別に素焼きした頭や骨と一緒に土鍋で炊いて吸物にします。私共の会席料理にはこれがたびたび登場します。

 うなぎの持つうま味をあますことなくお伝えするにはどうすれば良いのかを考え、今日も火床の前に立っております。