鰻の鰭(ひれ)のはなし

 今年は土用の入りが早かったため、十二支では足りず土用丑の日が2回ありました。鰻屋にとって1年で一番忙しい日々が続きます。

 毎朝生きた鰻をカミソリのように研ぎあげた包丁で割き、腹骨をすき、次に鰻の尾をとり巻くようにある背鰭(せびれ)と胸鰭(むなびれ)を一緒に取ります。

 高温の炭火にかざした時、身が焼ける前に鰭は焦げてしまい、口に入れるとその部分が苦くなってしまうからです。

 手は掛かりますが、鰻が持つ旨味を最大限お客様にお伝えするにはこの方法が一番と考え、今日も火床の前に立っております。