鰻の旬と天然鰻のはなし

 「暑さ寒さも彼岸まで」あの夏の暑さはどこへやら、前回お話しした「ワシントン条約締約国会議」もその事前調査でうなぎ属は保護の必要なしとなりました。関係各国各地の皆様の努力のたまものと改めて感謝しております。

 さて、10月になり秋めいてまいりますと、いよいよ本当の意味で鰻が旬を迎えます。

 川や湖沼で成長した鰻は産卵のためこぞって海へと向かいます。長旅に備え脂がのり、肉質もしっかりとし、いつもの養殖鰻とはまったく別物です。これを下り鰻と言い、この時期こそが鰻の旬なのです。一度ご賞味あれ。その違いにきっと驚かれる筈です。

 江戸の昔から受け継がれてきた鰻の食文化、鰻本来の味を未来につなぐ事も鰻屋の役割と思い、今日も火床の前に立っております。