鰻と発酵のはなし

 世界には数多くの発酵食品がありますが、日本にも古くから味噌・醤油・酒など自然の力によってその旨味を増す発酵食品がいくつかありますね。鰻の蒲焼を作るには当然タレが必要になりますが、そのタレもこれらの素材によって作ります。

 鰻に付いたタレ、炭火に落ち煙となって立ち上がり、再び鰻にまとわり付き、おいしくなる世界に唯一無二の鰻の蒲焼の完成です。

 何年か前に店に来られた発酵学者の小泉武夫先生が鰻とともに酒粕と味噌で漬けた白瓜の奈良漬けにもいたく感動されたことを思い出します。

 私共の鰻会席にも鰻を筒切りにし、酒と醤油で焼き、酒粕と白味噌で焼いた灘煮(酒粕を使った料理を灘と呼ぶ)が時々出て参ります。

 自然の力が織りなす旨味、その恩恵をいただきそれらを大切にして行きたいと考え、今日も火床の前に立っております。