「うなぎと人間の付き合い」のはなし

 古くは縄文時代、出土した土器にまじりうなぎの骨も発見され、奈良、平安時代には夏痩せを防ぐ妙薬として万葉集にも記された鰻も、鎌倉時代にはあまり関心がなかったのではと思っておりました。

 ところが先日、「植原路郎」先生のお書きになった書物を拝読し、決してそうではなっかことを知りました。

 当時、今の鰻という字は と書かれ、字音は「セン・クン・テン」とあり、その効能はまさに
薬食いだったそうです。

 つまり、室町時代に調理の世界に鰻が登場し、ぶつ切りに切った鰻を焼き、酒と醤油で味を付けて食べていた時代から令和元年現代に至るまで、その効き目はなんら変わっていないという事実です。

 世の中変わったとは言うものの、やはり鰻は不思議な力を持った食材です。そんな鰻を現代の粋を集めて旨い蒲焼を作りたいと思い、今日も火床の前に立っております。