鰻と海流のはなし

 皆さん、小諸市の懐古園にある島崎藤村の詩碑「椰子の実」をご存じでしょうか?渥美半島の伊良湖岬で、民俗学者の柳田国男が椰子の実を見つけ、それを藤村に伝えた事から作詞されたと言われています。

 黒潮に乗って遠き島から流れ着いた椰子の実、うなぎの生態系もほとんど同じです。マリアナ海峡で生まれ、赤道の北側を流れる海流に乗って西へと進み、日本方面に流れる黒潮に乗ってやって来るのです。その海流が20~30年周期で変化し、シラスウナギが捕れたり捕れなかったりとか。

 生態系を含め、世の中どんなに変わろうとも、私共の仕事はただ一つ、とびっきりおいしく体に良い蒲焼を作る事、そしてしれこそが喜びと思い、今日も火床の前に立っております。