雌(めす)鰻のはなし

 「順番が来たと鰻のあわてよう」毎日が暑いですね。毎朝生きた鰻を開いておりますが、こう暑いと鰻も舞うような勢いで暴れまわります。氷を入れて落ち付かせますが、なかなか厄介な仕事です。

 昨年末から今年にかけ海から河口に来たシラスウナギを養殖池に入れて育て上げた鰻が今成魚となり新仔として出荷されております。身が柔らかくふっくらとしていますが、それとは別に昨年の春、数ヶ月にわたり大豆イソフラボンを餌に混ぜ与えた柔らかい雌鰻もあります。

 養殖池の鰻は元来100%雄の鰻でしたが、大豆イソフラボンを与える事により雌になります。柔らかくて大きくなる雌鰻、多少は堅いものの旨味のある雄鰻、はどちらでもいいのかな?飼う人、料る人、食べる人、それぞれの方々が良しとするのは?と思いつつもお客様に「やっぱり鰻はおいしいね」と言って頂ける事が一番と考えます。

 先の見えない時代にあっても鰻屋の使命はただ一つと心得、今日も火床の前に立っております。